「やっぱりてんでに逃げる」“教訓”を集める取材

あの津波から、どのように避難したのか。ゲームを作るため、祖母・重子さん(89)のもとに向かいました。

畠山さん
「地震があった時に早くに逃げるために一番大事なことは何なのかね?」
祖母・重子さん
「やっぱり亡くなったお父さんが遺言に言ったのが『上さ あがれよ』っていうね。なんと言ってもやっぱり“てんでに逃げる”

「てんでに逃げる」の「てんで」とは東北の方言で「それぞれ」を意味します。東北・三陸地方には、「津波てんでんこ」という教えがあるそうです。「津波が来たら、いち早く各自がそれぞればらばらに高台へ逃げろ」という意味です。

畠山さん
「(家族が)誰も亡くならずに済んだからさ、てんでになって逃げたから良かったんだよね」

祖母・重子さん
「そうそう、てんでにね。てんでに自分の身だけ考えて逃げたようなもんだ」

取材を続ける畠山さん。

津波から逃げた長谷川智子さん
10mもの津波が来るなんてね、誰も思いませんでした。逃げた方がいいよっていうことで逃げたんですよね。何も持たずに」

こちらの男性は「避難中に津波にのまれてしまった」と話します。

津波にのまれた斎藤光弘さん
「自分はもう水の中に沈められてしまって、息ができない状況で。そこで後から考えれば意外と冷静だったと思いますが、たまたま瓦礫の隙間から顔を出せたんです。なんとか命を守ろうと思って必死で」

東日本大震災の壮絶な体験。それをどうゲームにするのか。この日、答えは出ませんでした。

畠山さん
「(取材で)聞いた話をもとにこんなキャラクターがいいなって。とりあえず構想がまとまったというか」

“ゲームは楽しいもの”という畠山さん。作業は順調のように見えましたが後日、その手は止まっていました。

畠山さん
「地震の表現、災害っていうものを、どういう風に描くのが結局正解なのか。いまちょっとよくわからなくなったんですよね。今一度、東日本大震災の当時の映像を見て、ちょっと考えなおしたいなと思います」