壁画にヒント?「何かがある確率は90%」
では通路の奥には一体何があるのか。描かれた壁画にヒントがあると、リーブス氏は言う。

従来は北側の壁画には、左側のツタンカーメンを右側にいる次の王・アイが弔っている場面が描かれていると考えられてきた。
ところが、右側の人物をよく見てみると…
エジプト考古学者 ニコラス・リーヴス氏
「おもな特徴はアゴ。小さいアゴで二重アゴ。右は墓にあったツタンカーメンの像。二重アゴやたるみがよく似ている」
そして、左側の人物こそが、壁の奥の“未知の空間”に眠る人物だと、リーブス氏は言う。
エジプト考古学者 ニコラス・リーヴス氏
「口元にシワがある。これはネフェルティティの顔の特徴」

確かに、その横顔や口元のシワはネフェルティティの像によく似ている。体つきも女性的だといえる。

リーブス氏は、この壁画は、後継者となったツタンカーメンが壁の奥で眠る義理の母ネフェルティティを弔っている場面を描いたものだと、結論づけたのだ。
2015年、ツタンカーメンの墓でその“未知の空間”を探る地中レーダー調査がおこなわれた。

レーダー技師の渡辺広勝さん。ペルーなど各国の遺跡調査で活躍してきた。
北側の壁に沿ってレーダーのアンテナを動かす。不自然なヒビの部分に差し掛かると…
地中レーダー技師 渡辺広勝さん
「表現が変わります。あぁ…バッチリ出た!グッドデータ」

渡辺さんのレーダー調査によるデータ。不自然なヒビを境に右側のパターンが大きく変化していた。
地中レーダー技師 渡辺広勝さん
「大丈夫だって慌てなくて」
この渡辺さんの調査結果をもとに、当時の考古相らによる記者会見が開かれた。

エジプト考古相(当時)マムドゥーフ・エルダマティ氏
「ツタンカーメンの墓の奥に部屋か、あるいは墓か、何かがある確率は90%」
その後、イタリアの研究機関などによる地中レーダー調査が相次いで行われ「空間はない」という結果も出るなどしたが、調査自体がコロナ禍などの理由でストップしてしまった。
2023年の秋、リーブス氏にとってまさに最後の挑戦が始まったのだ。