ふるさとに「息つぎできる場所を」
「何も考えずに読書に没頭できる場所をつくりたい」。おととし、そんな考えが浮かんだ時、両親に勧められたのがこの空き地でした。
武内さん「元々は祖父母の家が建っていた場所です。小学生時代に放課後とかおばあちゃん家なのでよく来てた。童話みたいなのがあって、それを読んでいた。色んな国の童話があって面白かった」
日が没むと「読書屋息つぎ」は静かに開店します。
武内さん「(客は)1日に来るときもあれば来ないときもあるという感じで、今月は寒いので人は少ない感じですけど。座っています。本を読んだり何かを書いたりしています」

薄れゆく震災前のふるさとの記憶。それでもここにいたいと思うのは「町が喜んでほしいから」だと話します。
武内さん「震災があって一時人がいなくなった時に、その時に町が何を思っているのかなということを考えることが多くあって。どんな町になったらいいかなという時も町が喜んでいるといいなと思う」
読書を通してふるさとに「ほっと息つぎできる場所を」。それが店名に込めた思いです。

武内さん「のんびりゆっくり楽しんで読む読書もあれば、必死に明日生きていくために読む読書もあると思う。本とか読書とかが必要だなと思った時に、来てもらえる場所だったらいいですね」
大熊町はいま、大野駅前のように開発が進み、目に見えて復興が進む場所もある一方で、武内さんがかつて住んでいた熊川地区のように復興から取り残された場所も残っています。
そんな様々な事情を抱えて町に戻ってきた人を受け止めたい、そんな気持ちが「読書屋息つぎ」にはありました。この書店の営業は、午後6時から午後9時までで、定休日は月曜日です。