
仲野さん
「家族も(出産に)あまり賛成ではなく、相手側からも中絶を勧められた。相手とは別れて、自分は子どもは絶対に中絶したくなかったので、そのまま妊娠を継続して今に至っています」
ひとりで産むことを決意したものの、未成年であるがゆえに直面する問題もあった。自動車運転免許が取得できる年齢に達しておらず、自分で移動する手段がなかったのが最も困ったことだと仲野さんは振り返る。
「ポノ」では医療や福祉の専門スタッフが常駐するほか、自動車免許の取得、高校や専門学校への復学もサポートする。また季節ごとのイベントを開き、若くして産んだ母親たちの交流の場となる役割も果たしている。
ポノと出会ったことで出産後、通信制高校に復学することができた仲野さん。前を向けたのは、寄り添ってくれた居場所の支えがあったからだ。

仲野さん
「周りから、 “未成年で子どもがいる” というのは軽蔑されがち。子どもがいるから学校にも行けていないだとか、未成年の親というだけで決めつけが入る部分があり悔しかった。どうしようと思ったときにポノのスタッフに相談して、同じ大人でもこんなに話を聞いてくれて、理解してくれる人たちがいるんだなと思うだけで、一部の人たちのマイナスな意見は気にならなくなりました」
「ポノ」を運営する助産師 宮城とも美さん
「10代で妊娠して色んな葛藤があると思う。産むも産まぬも、選択を一緒に考えていくこともできるので、悩まないでほしい」
若年妊産婦を社会から孤立させないために。安心して過ごせる “居場所” が果たす役割は大きい。(取材 仲田紀久子)