「いつも履いている靴がない」表れ始めた“物盗られ妄想”の症状
ところが、冬にさしかかったころ、異変が起こります。
(記者)「どうしたんですか?靴がない?」
(関田美香さん)「いつも履いてるスケッチャーズの靴が…」
美香さんは「誰かに物を盗られた」と思い込むことが増えていました。
(関田美香さん)「誰かの手で持っていかれた…。悪いけど、そういうことしか考えられなくなりますね、ここまでくると」
(記者)「ベランダみます?」
(関田美香さん)「誰か入ってきてるかな…そういう感じがするんですけど」
(記者)「美香さん、靴ありますよ」
(関田美香さん)「えっ、どこ?」
(記者)「ベッドの下じゃないですか?」
(関田美香さん)「ベッドの下?まじで…これです。…そこまで壊れてる?」
“盗みの疑い”が、信頼しているはずのヘルパーの坂本さんに向けられることもありました。
(坂本智子さん)「えっ、私を疑ってる?みたいな。それを責めてもしょうがないことだし、『違うよ』ってわかってもらうことも難しいことだから、流していかないとね」
こうした思い込みは、アルツハイマー病が進行すると表れる症状のひとつだといいます。
(武田景敏医師)「『物盗られ妄想』というものです。自分が、あるときに場所を変えたこと自体を覚えていないんです。そうしてどんどん物がなくなるという奇妙な現象が起きると、理由がないと不安になりますよね。『誰かが盗った』と考えてしまうのはしかたがないことなんです」