子ども主体の教育施策にリビルド

教育の在り方を変えることは、社会の根本を変えることにつながる。
「将来、子どもたちは親になります。今の子どもたちに主体性や対話の力を育めば、次世代の社会はより良いものになるでしょう。ヨーロッパでは、教育が変わることで社会全体の意識も変わってきた。日本も今こそ、教育を“リビルド”する時期に来ているのです」と工藤氏は言う。
では、そのために大人は何をすべきなのか。工藤氏は「教育システムそのものを変えていく必要がある」と指摘する。「子どもたちに『主体的に学べ』『対話をしろ』と言うだけでは不十分です。それを可能にする教育環境を、大人が整えていく必要があります。
最終的には、現行の学校制度の見直しも含めた改革が必要だと考えます。「日本では、学校教育法第1条に定められた“1条校”以外は“学校”として認められません。つまりフリースクールのような学びの場が、正式な教育機関としてカウントされないのです。その結果、『学校に行けない子は学んでいない』という発想になりがちですが、それ自体が時代遅れです」。フリースクールを含め、子どもたちが多様な学びを選択できるシステムを作ることは、日本の教育にとって急務だという。「就学義務を見直し、子どもが自ら学ぶ場を選べるようにすることが必要です。教育システム自体を根本的に変えていかなければならないのです」。
『御上先生』が描くのは単なる学園物語ではない。そこには日本の未来をどう築くのかという問いが込められている。「このドラマを通して、より多くの人が教育について考え、自分にできることを見つけてくれたらうれしいですね」と工藤氏は期待を込めた。
教育は、未来をつくる根幹でありながら、時代に応じた変革が求められる分野でもある。工藤氏が実践してきた改革や、『御上先生』が提示する問いは、単なる教育論ではなく、社会そのものをどう作り変えていくかという視点につながる。子どもたちが主体的に学び、対話を通じて意思決定していくために、教育システムの“リビルド”が必要だ。今、大人は何を変え、どう未来を支えていくべきなのか。その問いに向き合う時期が来ている。
