「人のせいにしない社会」を作るために――社会の“当事者”として、対話を重ねる必要性

工藤氏がドラマを通して伝えたいのは、「人のせいにしなくて済む社会を作ること」だという。
「教育の目的は、子どもが自分の人生を主体的に生きる力を育むことです。しかし、今の日本の教育は、失敗を恐れず挑戦する環境を整えるよりも、指示されたことを“こなす”ことを重視しています。これが結果的に、他責の文化を生んでしまっているんです」と指摘する。
さらに、学校での学びが社会全体に影響を与えることを強調する。「教室や学校を舞台に、自由と自由がぶつかり合いながらも、お互いに対話を通じてより良い社会を作っていく。このプロセスこそが、民主主義の基盤であり、最終的に社会を変えていく原動力になります」と語る。劇中でも、生徒たちが意見を交わしながら合意形成のプロセスを学び、それぞれが主体的に判断し行動する姿が描かれる。「誰かから答えを押し付けられるのではなく、1人ひとりが納得した自己決定によって社会が変わっていく。それが何より素晴らしいことなんです」と工藤氏。
「人のせいにしない社会」とは、個々が社会の“当事者”として、対話を重ねながら意思決定をしていく社会のことだ。 その結果として誰もが納得し、自分の人生に責任を持てる世の中が作られていく。
「学校が変われば、社会も変わる」――工藤氏の言葉には、教育が持つ本質的な意義と、それを支える対話の重要性が込められている。