そして、3つ目の特徴は
中山教授:
「自暴自棄というんですかね、ある意味では人生をリセットするような」
孤独や経済的な困窮から「自暴自棄」になり、無差別殺傷事件を起こすケースもあります。
中山教授:
「自分自身に抱いているような理想の自分と、世の中から評価されてる自分というものに非常にギャップがあるケースが多くて、それによって欲求不満を蓄積させる」
「自分はこんなにすごいことができるんだぞと、ある意味では自分を目立たせたいという承認欲求を得たり、一般市民を恐怖のどん底に貶めるそれが大きな目的」
2021年のハロウィーンの夜、東京・京王線で18人が襲われた殺人未遂事件。
犯人の男は映画の悪役、「ジョーカー」に変装。
犯行後、車内でタバコを吸っている様子は、まさに承認欲求の表れとみられ、裁判では「死刑になりたくてやった」などと話しています。
一方、今回の事件で異なるのが矢口容疑者が現場から逃走した点です。

中山教授は過去の事件では、その場で自殺を図るケースや、現場に留まって逮捕され、犯行動機などを話す場合が多いといいます。
中山教授:
「本当に行き詰って最後の手段というか、覚悟の上でやっているから気にもしないし黙秘もしない」
一方、矢口容疑者は犯行後、ひげを剃ったり、犯行に使ったとみられる手袋を焼いたりするなど、証拠隠滅を図ったとみられています。

中山教授:
「中途半端で覚悟の上での犯行とも思えない」
「重い罪に問われるのも嫌なのか、迷いがあるからとりあえず黙秘しているのではと思います」
孤立、経済的困窮といった、過去の無差別殺傷事件の特徴と共通点のある今回の事件。
犯行に至った動機は解明されないまま、事件から22日で1か月を迎えます。
宮入キャスター:
取材をして感じたことは?
小口記者:
孤立や経済的困窮で追い詰められる人の居場所や仕事、役割をどう確保していくか、社会で考える必要があると感じました。
一方で、同様の事件は繰り返し発生していることから、対策は難しい点もあると感じます。
宮入キャスター:
1人の命が奪われ市民にも不安が広がりました。
動機を解明して今後にどう生かしていくのかも欠かせないと感じますが、今後の捜査はどのように進むのでしょうか。
小口記者:
今回取材したのは過去のケースでしかなく、矢口容疑者がどうして事件を起こしたのか警察では引き続き動機解明に向けた捜査を続けています。
矢口容疑者は黙秘を続けていて、今後は死亡した男性に対する殺人容疑でも再逮捕する方針です。