【提言1】候補者間・政党間比較を意識した報道
インターネット選挙運動時代の候補者や政党は「出したい情報を出したいだけ出す」ということを既に述べた。裏を返せば、彼らは「出したくない情報は出さない」のである。すなわち、都合の良い情報だけが候補者や政党から垂れ流されるのがSNSを中心とするインターネット選挙運動時代と言える。
しかし、それでは有権者が必要な情報は得られない可能性が高い。有権者の中には候補者や政党が掲げる公約を比較したいと考えている者もいる。マスメディアは、有権者が比較できる情報を提供することが求められる。
これは多くのマスメディアが実践している。候補者や政党にアンケートを行い、それを新聞は紙上で、テレビ局はニュース番組などで報道している。ただ、こうしたアンケート手法は使い古された側面もあり、新味に乏しい。
アメリカの大統領選挙のようにテレビ討論会をテレビ局主導で行ったり、国政選挙の際に日本記者クラブが行っている党首討論会のようなことを行うことは可能であろう。討論会を仕切るコーディネーターをどう調達するかといった課題はあるものの、こうした企画は視聴数稼ぎの動画配信者にはできないことである。
NHKや毎日新聞などが行っている、アンケート情報を元に有権者が質問に答えていくと考え方が近い政党や候補者がわかる「ボートマッチ」システムを構築し、それを夕方のローカルニュースの報道と連動させるという手法も考えられる。
ローカルテレビ局でシステムを一からつくり、選挙公約を数値化するコーダー(研究者などの有識者が想定される)を集めることは難しいが、系列局や地元紙などと連携して取り組むことは可能であろう。