SNS選挙全盛時代におけるテレビ局の選挙報道のあり方は?

日本のテレビ局は、公共の電波を利用していることから不偏不党が強く求められる。選挙運動期間の報道が抑制的になりやすいのも、特定の候補者・政党に肩入れしていると思われないための配慮が働いているからである。

不偏不党という立場の延長線上で考えた場合、テレビ局などのマスメディアがファクトチェックの主たる担い手になるという考え方はある。マスメディア全般に対して否定的な(ないしは懐疑的な)見方をする者もいるが、マスメディアほど、ディスインフォメーションやミスインフォメーションを訂正できる資源を有している組織はない。

ただ、筆者としては、マスメディアは投票参加を喚起し投票先を判断する情報を提供する方向により注力する必要があると考える。かつてほどではないかもしれないが、マスメディアには「いまこれが社会的に重要な課題である」と国民に認識させる力は有している(だから動画視聴を稼ぎたい者はマスメディアが採りあげそうな話題を提供しようとするのである)。そうした立ち位置を認識し、選挙報道(ワイドショー番組を含め)がどうあるべきか考えるべきである。

また、テレビ局は動画を容易につくることができ配信できるようになった時代になったことをふまえ、そうしたSNSで一般人がつくる動画とどう差別化できるか考えるべきである。一般の視聴者が流せる風景を流すだけのテレビ局は、選挙報道を行う存在として失格である。

それでは、具体的にどのようなことが考えられるのか。それは、インターネット選挙運動の本質の議論から導き出せる。