「貯金は120万円以上しない」
老後、夫婦二人が暮らしていくには年金に加えて「2000万円程度の貯蓄が必要」と推計された、いわゆる「老後の2000万円問題」。
しかし澁谷は貯金を「120万円以上しない」と決めている。その金額で1年暮らしていけるからだという。
だから「2000万円問題」に動揺することもない。
また老齢でも年間120万円くらいは稼いでいけるだろうと考えている。
今、経営者として稼いだお金はどうしているのか。
それは自身の仕事の経費やニュービジネスへの投資、食事、旅に費やすのだという。

YouTubeに「顔出し」で出てくれる依頼者にはアドバイザー料を求めず、交通費や宿泊費も澁谷の自腹だ。それが楽しいからだという。
「お金があるから」「ストレス解消」という理由だけでモノは決して買わない。
両親が離婚して以来、会うことがなかった父親とは、父親の病気をきっかけに再会した。
「終活」の一助にと、モノであふれかえった父親の部屋でモノの処分を手伝った。
結局、老年期に必要なのは「健康」で、モノがあればあるほど人生の足かせになっていることを再認識した。
「自立するためにミニマリストであるべし」との思いを強くした。
ミニマリストの将来設計 恋愛や結婚観
澁谷の話を聞いているうちに疑問がわいてきた。
ミニマリストにとって、恋愛や結婚は、足かせにならないのだろうか。
パートナーとの交際、同居、結婚などは「自分が必要としないもの」が居住スペースに「滲出」してくることが容易に想像できるからだ。
出産・育児の期間中は、おむつ、ベビーベッド、哺乳瓶、おもちゃ、ベビーカー、ベビー服。必要なものが増え、色彩もあふれ、自分がコントロールできる「物のない静かな空間」を保つのは困難だ。
「ミニマリストが増えると、未婚・非婚・別居婚が増える」と考えるのは短絡的だろうか。
澁谷に尋ねると、「自分は専門家でもないし、自身の発言がミニマリストの結婚観のようにとらえられたくない」といい、その先は口をつぐんだ。
都市部を中心に非正規雇用が増えた場合、その中でも快適に生きていくために必然的にミニマリストが増えていくようにも思われる。
「若いミニマリスト」が増えた場合、「令和の家族観」はどう変化していくのだろうか。