ミニマリストになったきっかけは「貧困」
澁谷直人は福岡県北九州市出身。両親と妹の4人家族だ。
専業主婦の母親と投資家の父親の元で何不自由なく育った。

毎週のように新作のゲームソフトを買ってもらい、月に一度は福岡から家族でディズニーランドに旅行していた。
家は物であふれ、ミニマリストの対極「マキシマリスト」だった。
豊かな生活が一変したのは澁谷が中学へ進学する頃。父が事業に失敗して自己破産したのだ。

邸宅は物が散乱し、荒れた「汚部屋」に。
その後、両親は離婚。母親がパートに出て子ども二人を育てた。
澁谷は思春期の真只中。欲しいものがあるのに買えず、金のことばかりを考えた。
「大企業へ就職する。そのために一流大学へ進学する」と決意。
しかし試験当日に体調を崩すなどして受験に失敗。2浪ののちフリーターになった。
この経験こそが「ミニマリストしぶ」の原点だ。
「フリーター時代 生きていくのに月6万円で十分」
友人たちが一流企業に就職する中、実家暮らしでフリーターだった澁谷には焦りもあった。
とにかく自立したい、でも金がない。
「安い家賃の狭い部屋で生活するためには物を減らすしかない」。持ち物を徹底的に処分した。
すると「物を持たない暮らし」が快適で、月に6万円の収入で快適に暮らせた。風呂無し・ワンルームの家賃は1万9000円。
健康維持のために通ったジムで入浴を済ませるため、不自由もなかったという。(現在もそのスタイルを貫いている。)
生活費がかからないので働くのは週に3、4日のみ。
うまれた時間で自身の暮らしをブログで発信したところ、たちまち評判になり出版社から声がかかる。

自著「手ぶらで生きる」を出版し、2018年、23歳で会社を立ち上げた。
今ではミニマリスト流の片付けアドバイスのため全国を飛び回っている。
あふれるモノに悲鳴を上げ、澁谷に助けを求める老若男女が日本全国に大勢いるのだ。
その様子はYouTubeで配信されている。
澁谷はついに「人はモノでは幸せになれない」という信念に行きついた。