「ウクライナは明日の東アジア」岸田前総理は危機感も…

小林由未子キャスター:
一方で岸田前総理は、2023年3月、ロシアによるウクライナ侵攻について「力による一方的な現状変更の試みが行われている現実を目の当たりにし、私はウクライナは明日の東アジアかもしれないと強い危機感を覚えました」と発言をしています。

これについて、星さんは“台湾有事”を想定していると話していました。

星浩さん:
台湾はどこの国とも同盟関係がありません。今回のウクライナがNATOとの同盟関係に入っていなかったのと同様に、その隙を狙われました。仮に中国が台湾を武力統一しようとしてきた場合、同盟関係で台湾を守るという枠組みは残念ながらありません。

おそらくアメリカは中国と向き合う中で、アメリカには「台湾関係法」という台湾の問題を守るという法律がありますが、これは国内法であり、同盟関係ではありません。

そうするとアメリカは、「いずれはアメリカも対応するが、その部分は日本の関与も強めてくれ」とおそらく要求すると思います。

“台湾有事”となった場合は、単に危機感を煽るだけではなく、日本と台湾との関係や、中国との関係をどのように組み立てていくかを考えていく時期になっていると思います。

井上キャスター:
トランプ大統領は色々なところで仲介をして自分の手柄にはしますが、「最終的にどうするかという責任は自分たちで考えて。アメリカはそんなに介入しないから」と言っているようにも聞こえますね。

秌場聖治さん:
さらに忘れてはならないのは、ロシアは我々の隣国であり、北朝鮮との関係がこの戦争でかなり深まっているという点です。そうした点も含め、日本の安全保障に対して新たなフェーズに入りつつあるような気がしています。

井上キャスター:
このウクライナ侵攻を突破できそうなのは、今、トランプ大統領しか見当たらないというのも、また現実ですね。

==========
<プロフィール>
秌場 聖治
TBS報道局 前外信部長
ウクライナ侵攻を現地取材

星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年