体験が夢につながる
「ムリだろうな」が心を覆っていてもえりさんには目標があった。
ディズニーランドで働くことだ。
小学生の時、誕生日にお母さんに連れて行ってもらった時の体験がきっかけだった。パレードを見たり、お店の人がたくさん話しかけてくれたり。
「このキラキラした世界に入りたい。ディズニーランドで働きたい」
ある日テレビをつけると、ユーチューバー『HIKAKIN』や投資で大金を得た人たちが映っていた。
“自分の力で成功した人たち”を見て、「無理なことでも実現できる」、「努力で道を切り開ける」と思えた。
家族でも先生でもない、第三の支え

塾に通えないえりさんの高校受験を支えてくれる大人たちがいた。
中学校で配られたプリントに載っていたNPO団体だ。
ボランティアの大学生や元教師の大人たちが勉強を教えてくれた。使わなくなった参考書を探してプレゼントしてくれた。
お母さんは困窮するひとり親家庭に、お米や肉、野菜などを毎月配布するNPOを利用し、えりさんのお腹と心を満たしてくれた。
高校受験では、特待生として合格。授業料は3年間免除になった。

授業は朝8時から夕方4時半ごろまで。土曜日もほぼ休みなしで授業がある。
ついていくのに必死だったが、クラスメイトと一緒に励む連帯感もあって、学校はとにかく楽しかった。
友達も遊びより勉強中心の生活。“お金の格差”を感じることも少なかった。
スマホは高校生になってから使い始めた。格安SIMがありがたかった。
洋服はGUで、オールシーズン着られるパーカーなどを買った。
高校の修学旅行で初めて飛行機に乗った。
でも、外食などお金がかかる遊びに誘われた時は困った。用事があるふりをして断った。