トランプ氏「相互関税」 日本に影響は?

小川キャスター:
相互関税の評価はなぜ「ハテナ」なのですか?
23ジャーナリスト 片山さん:
そもそも相互関税というのは新しい概念です。

例えば、自動車が日本とアメリカを行き来する場合、日本の車をアメリカに輸出する際は2.5%の関税がかかりますが、アメリカの車が日本に輸入される際は0%で関税がかかりません。国の得意分野によって変わる関税を、うまく合わせるのが相互関税だとトランプ大統領は言っています。

EU・アメリカ間の関税については、アメリカの車をEUに輸出する際は10%の関税、EUの車をアメリカに輸入する際は2.5%の関税とずれていますが、これを一緒にすべきというのがトランプ大統領の考え方です。
今までの2.5%から10%に引き上げるという脅しで、引き上げられるとEU側も困りますから、このように関税率を合わせていくというのが「相互関税」といわれています。
小川キャスター:
日本への影響はどうみていますか。
23ジャーナリスト 片山さん:
そもそも日本の工業製品には関税があまり多くかけられていないので、それほど影響がないのではないかといわれています。

ただ、唯一、心配されているのがお米です。お米については、日本からアメリカへ輸出する場合は約20円/kg、日本がアメリカから輸入する場合は341円/kgとなっているので、もしかしたらトランプ大統領は「一緒にする」と言ってくるかもしれません。
アメリカに日本のお米を輸出する場合に関税がかけられることになり、「それが嫌なら自分たちも関税を下げて」という交渉をされる可能性はあります。

相互関税の狙いの多くは日本に対してというより、中国やインド、EU、ブラジルなどといった国への打撃を狙ったものではないかとみられているので、日本への影響は少ないのではないでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
相互関税といいながら、日本はお米や肉に関税をかけているので、そこに対して「関税を下げろ」と言ってくるでしょう。アメリカがその分を上げるというのは、次のステップになると思います。
藤森キャスター:
今回の会談についてアメリカメディアは、「トランプを口説き落とすためのごますりを駆使する」という見出しで伝えています。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
石破総理は、今回がトランプ大統領と初めての会談なので、ある程度ご機嫌をうかがう必要はあったと思いますが、釘をさすべき点が二つあったと思います。
▼一つは関税です。関税を恣意的にやっていくことは世界の自由貿易のためにならないし、アメリカの物価が上がるのでアメリカにとっても良くないということを、石破総理は言うべきでした。
▼もう一つは法の支配です。日本とアメリカが共同して、中国に対して「法の支配を守れ」とずっと言ってきましたが、今回は共同声明でも記者会見でも「法の支配」という言葉は一言も出ていません。トランプ大統領はガザから追い出したり、国際法に反するようなことをやっていますから、どうやらあまり法の支配という言葉が好きではないようです。
日本が忖度して「法の支配」という言葉を使うのはやめようということだったみたいですが、ヨーロッパの首脳は「石破総理は大事なことを言わないで、トランプ大統領に取り入ろうとした」と感じるでしょう。石破総理は世界的な信用度を落としたかなという、マイナス面はあると思います。