日米首脳会談…政府関係者「全部よかった」 USスチール問題、日本にメリットは?
小川彩佳キャスター:
記者団が沸くような瞬間もあったようですね。経済面で動きがみられましたが、この首脳会談をどう評価しますか。
23ジャーナリスト 片山薫さん:
政府関係者は、基本的には「全部よかった」と言っていました。

私としては、対米投資「150兆円」〇、液化天然ガスを買う△、USスチールに「投資」△、相互関税?と評価します。
その中では、対米投資「150兆円」という数字は、はっきり成果が出たように思います。実は2023年時点で120兆円ほどしているので、そこに少しプラスすれば届く数字です。150兆円は、ドルになおすと1兆ドルにあたるので、大台を超える分かりやすい数字がトランプ大統領に響いたのではないかといわれています。

一方で、USスチールへの投資という点は不透明です。買収したい日本製鉄が、トランプ大統領の「買収ではなく投資」という言葉をどう受け取れば良いのか。日本製鉄の橋本会長が今週訪米し、トランプ大統領と会うということなので交渉の余地が出てきているところです。林官房長官が「これまでとは全く異なる大胆な提案を検討する」と発言しているので、期待できる部分があるのかもしれません。
10日夜、日本製鉄の幹部は取材に「大胆な提案をしたわけではない」「トランプ大統領の話を聞いてみないとわからない」と答えているので、政府から企業にボールが投げられた状態です。
小川キャスター:
「頼むよ」ということなのでしょうか。
23ジャーナリスト 片山さん:
ある意味「日本製鉄がんばれ」という応援かもしれませんが、実際にそれができるのか、アメリカの世論がどうなるか…まだ見えない状況かと思います。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
林官房長官のもとに外務省や経産省のチームがあり、トランプ大統領の「買収はさせない」という面子を立てる代わりに、投資という形で“実質は取る”作戦で臨んでいます。
例えば、今まで株をすべて買うと言っていたのを4割ほどに抑えて、じわじわと日本製鉄の影響力を高めていくなどでしょう。資金力・技術力は圧倒的に日本製鉄が強いので、それをしばらくやれば、いずれ事実上の買収のような形にできるというのが政府側の作戦です。
トランプ大統領にその作戦は伝わりましたが、日本製鉄側がすべてを理解しているとは限りませんから、今週以降、日本製鉄とトランプ大統領の話し合いになると思います。ただ、日本製鉄もゼロになるよりは“マシ”ですから、考えていくでしょう。