10月4日に発足から1年を迎えた岸田政権ですが、旧統一教会をめぐる問題を背景に支持率が2か月連続で過去最低となりました。旧統一教会の問題などに加えて、円安・物価高などの大きな政策課題も抱えている今の状況、岸田政権は突破できるのでしょうか?TBSのスペシャルコメンテーター星浩さんによる解説です。

■岸田政権発足から1年 “旧統一教会”で打撃 支持率は2か月連続で過去最低に


井上貴博キャスター:
所信表明演説の中でも団体名をしっかりと上げていた旧統一教会との関係について、岸田総理は3日、「国民の皆様の声を正面から受け止め説明責任を果たしながら各般の取り組みを進めてまいります」と発言しました。

しかし、この旧統一教会を巡る問題で風向きが大きく変わったのも事実です。


内閣支持率は2か月連続で過去最低。不支持は53.9%(+5.6)、支持が42.7%(ー5.4)というのがJNNの世論調査です。


9月30日に公表された自民党の内部調査追加報告の結果です。旧統一教会と何らかの接点・関係があった議員が180人(379人中)、そして新たに4人の名前が公表され、その中には木原誠二官房副長官の名前もありました。


細田博之衆院議長に関しては、9月29日に書面で接点を認めた後、これではあまりに説明になっていないということで追加の説明が求められているわけですが、会見などをするのではなく書面でという方針は変わっていないようです。


2018年に旧統一教会主催の会合に出席していた、現職閣僚の山際大志郎経済再生担当大臣は、3日、韓鶴子総裁について「どこかで会ったのは覚えていたんですけど、どこだったか分からない以上、その話をするのは不正確なのでお話をしなかった」とコメント。

「思い当たるところで他にはないのか」という質問に対しても「会合の案内があれば、都合が付けば出席をする。都合が付かなければ出席をしない。他にも会合に出席した可能性はある」と、あまりに誠意に欠ける回答がありました。


立憲民主党の泉健太代表は3日、「さんざん周りから証拠を出してきて初めて真実を明らかにする。やはりお辞めいただくのがふさわしいんじゃないか」と発言しました。

ホラン千秋キャスター:
山際大臣に関しては以前から少しはぐらかすというわけではないですが、ちゃんと芯を食って答えている感じがしないなというような受け答えが多かったですよね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
次々と新しい事実が出てきた、その後に追認するっていうことの繰り返しですよね。普通ならもう辞めざるを得ないんですが、山際大臣は自分の派閥の麻生太郎氏に守られていると思っているのか、甘利明氏に近いので守られていると思っているかもしれませんが、今までの政権だと、普通は剛腕の官房長官や幹事長がいて総理の意を体してもうやめなさいと、明日辞表持って来いということを相当強引にやったケースが多いんですが、今の政権はそういうことをやる人がいないんですね。

岸田総理が直接やるわけにいかないので、普通は官房長官ないし幹事長が首を取ってくるということをやるんですが、そこができないと、この政権なんとなくちょっとふにゃふにゃして力がないなというふうには見られてしまいます。

ホランキャスター:
旧統一教会の問題だけではなくて様々な課題が今、直面しているものがあると思うんですが、岸田総理はこの状況をどのように突破していこうと考えているんでしょうか。

星コメンテーター:
所信表明演説聞いても、一つ一つ政策課題をこなしていくことによって支持率は回復するということなんでしょうが、現実にはそれは無理だと思います。相当岸田総理が蛮勇をふるわないと今の局面というのは展開できないと思いますが、どうもその蛮勇をふるう局面をなかなか見出しにくくなっているので、このままズルズルと支持率が低下して求心力が落ちてきて、一方で抱えている政策課題がものすごくいっぱいあるので、その政策課題に押しつぶされていくという可能性はあります。

ホランキャスター:
このまま支持率が低下していくと、次に考えられる展開というのはどんなことがあるんでしょうか。

星コメンテーター:
大体苦しくなった場合は、普通は内閣改造や人事を変えるとかで切り抜けようとするんですが、やったばっかりなのでそう簡単にいきませんし、衆議院の解散を打って出るかというと絶対それはできない。となると、しばらくは低空飛行が続くということです。

井上キャスター:
自民党としては公明党との関係もありますし、宗教には触れづらいというところもあるんだろうと思いますが、旧統一教会のように問題がある団体に踏み込めないとすると、他の健全な宗教団体も迷惑をしてしまう。政府として調査などは行わないのでしょうか。

星コメンテーター:
今回の問題は政治と宗教の関係というよりは、違法行為を重ねてきた団体に対して政治・政党がどう向き合うかという問題なので、直接政治に対して宗教がどうこうということではないと思うんです。むしろ旧統一教会によって生じた色々な被害者救済をどういう形で立法なり予算の手当などをしていくかということに段々と収れんしていくと思います。