“格安”のワケは「先生」と「生徒」

では、なぜこんなに安く開発できたのでしょうか。そのひとつが「オープンソース」と言われる、誰でも無料で利用できるデータやAIの活用です。

ディープシーク社は、大量のデータを先に学習し終わった他社の大規模なAIを先生役とし、自社の小規模なAIを生徒役にしました。そして、先生役のAIに対して質問を繰り返すことで効率良く学習させたといいます。先生役のAIには高性能な半導体が大量に必要ですが、生徒役にはそこまでの性能は必要なく、低コストで開発できたと一因と考えられているのです。

また、ディープシークのAIもオープンソースとして公開されています。AIに詳しい安野貴博さんは「大規模な投資ができない企業でも高性能なAIを開発できる可能性が示された。ディープシークのAIに改良を加えて、独自のアプリを開発したい企業・研究者にとっても朗報」と指摘します。

ディープシークの“不正利用疑惑”

一方で、こんな疑惑も…

アメリカのブルームバーグ通信は、ディープシークが「オープンソース」ではない他社のデータを無断でAIの学習に利用した疑いがあると報じました。アメリカ政府高官も“アメリカから知的財産が盗まれた可能性”に言及。

これをきっかけにAI分野でも米中の摩擦は避けられないのでしょうか。ディープシークに尋ねてみると…「国際的な協力や対話を通じて、摩擦を緩和する道も存在します」と答えています。

(「サンデーモーニング」2025年2月2日放送より)