2022年の台風被害 一部区間の運休が続く

大井川鐵道 新金谷駅に停車中のSL「合格祈願号」

大井川鐵道には、金谷駅(静岡県島田市)〜千頭駅(静岡県川根本町)間の大井川本線と、千頭駅〜井川駅(静岡市葵区)間の井川線がある。大井川本線には、SLや往年の大手私鉄車両などが走る。また、井川線は全国で唯一のアプト式鉄道で南アルプスの麓の風光明媚な区間を走る。大井川鐵道にとって、観光客に少しでも長い区間を乗ってもらうことが鉄道収入のアップに欠かせない。しかし、SLが走る主要区間の大井川本線は、2022年9月の台風15号による被害で、川根温泉笹間渡駅〜千頭駅の間で運休が続いている。全ての復旧にかかる費用は約22億円だといい、財源をどう確保するのかが課題となっている。

2024年6月には、いすみ鉄道(千葉県)や、えちごトキめき鉄道(新潟県)でローカル鉄道の再生請負人とも呼ばれるほどの手腕を発揮した鳥塚亮氏が社長に就任した。大井川鐵道は2025年に100周年を迎える。食堂車や100万円の純金製きっぷなど、様々なイベントを打ち出し、訪れる人を増やし、復興を目指している。

JR東海提供

<大井川鐵道・広報 山本豊福さん>
「2号車、3号車のコンパートメント席には、過去、大井川鐵道で走らせましたSL列車のヘッドマーク、サボ、列車種別表を4区画に展示してございます。どうぞ、この列車に乗った記念として、お写真をお撮りいただければ」

鉄道ファンはもちろん「さわやかウォーキング」の参加者にも大井川鐵道の魅力を知ってもらいたい。1人でも多くの人に足を運んでもらうことが「大井川鐵道かけはし」号の役目だ。

<車掌アナウンス>
「まもなくいたしますと富士駅に到着いたします。快晴の日にはお客様の進行方向右側 に富士山をご覧いただくことができますが、本日はあいにくの天候のため、富士山は姿を隠しております。富士山の神様コノハナサクヤヒメは大変美しい女性の神様でございますので、おそらく素敵な殿方が多くいらっしゃるこの列車が来ると知って、お姿を隠しているのかもしれません。お帰りの際には晴れていることをお祈りいたします」

JR東海の車掌による観光案内も特別な列車での旅に華を添える。

富士駅を午前8時8分に出発。由比駅では、特急列車の通過待ちのため、しばらく運転停車(乗降できない停車)。由比駅を午前8時27分、次の停車駅の清水駅を午前8時37分に出発し、臨時快速「大井川鐵道かけはし」号は、静岡駅に到着した。