「自転車に乗る時に必ずヘルメット着用を」父親の訴え
自転車に乗る皆さんには、必ずヘルメットを被ってほしいと思っている渡邊さん。マイヘルメットをかぶりながら、その理由を大地さんの事故を例に語りました。
(渡邉明弘さん)
「これがトラック側から見た事故現場の写真です【画像⑯】。大地はこの横断歩道を渡っていて、この場所でトラックと衝突しました。疑似的にトラックの運転席からの見え方を再現しています」

「自転車に乗った大地が、横断歩道を渡るタイミングを待っています。右側の道から黒のワンボックスカーが来ました。トラックの運転手は、この車に気を取られていたといっているので、赤い丸い丸印を運転手が見ているところだと思って集中してみてください」【画像⑰】

「この時点で、運転手の視界の左側に大地の姿が見えていたと思われますが、何らかの理由で、黒の車に気を取られすぎた運転手の頭の中で、大地の存在は優先順位を低く判断されたのではないかと思います。黒い車が道路に出てきたタイミングで、その影に大地が隠れてしまった可能性があります」
「しかし、大地の側からはトラックが見えていて、トラックの運転手が大地の方向を見ているので自分の存在に気づいてくれていると思ったでしょう。黒い車が道に出るタイミングで、大地も横断歩道を渡り始めますが、トラックの運転手はまだ黒い車に気をとられています。そして前方に目を向けた瞬間、横断歩道を半分近く渡ってきている大地に初めて気づきます」
「『あっ!』と思ったそうですが、もうブレーキは間に合いません。運転手は高校生がまるで降って湧いたように思えたと言っています。そして大地はトラックにはね飛ばされてしまいました」

「自動車はアクセルを踏んでいる間は、運転手が前を見ていなくても走り続けます」
「皆さんが万が一、そんな状況に出会ってしまったときでも、ヘルメットを被っていることで、運転手が早く気づいて、数秒早くブレーキを踏めるかもしれません」
「松山南高校の女子生徒のように事故になったとしても、ヘルメットが喜んで犠牲になってくれて、皆さんの頭を守ってくれます。そのような理由で、自転車に乗るときは必ずヘルメットを被ってほしいと思っています」

「去年(2024年)、全国の警察がヘルメット着用率の調査をしたデータでは、愛媛県は69%、全国平均は17%、岡山県は10%でした。上位の愛媛・大分・群馬は高校生の死傷事故が起きたことから、保護者の機運が高まり、教育委員会が動いた結果、着用率が高くなっています」
「岡山県は、ここ数年で高校生の死亡事故が起きていないので、保護者の心がまだ動いていないと思われます」