阪神・淡路大震災の教訓「古い木造住宅」の耐震

「建築防災学」が専門の広島大学・三浦弘之教授は、30年前の震災の教訓を次のように話します。
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「阪神・淡路大震災で明らかになったのは1981年を境に、それ以前の以降では耐震性が非常に異なる。つまり古い建物は非常に壊れやすく被害が大きくなりやすいのに対して、新しい建物は被害が小さかったということが明らかになった初めての地震」
当時、神戸市などでは1981年より前の「古い耐震基準」で建てられた木造住宅が密集。地震の激しい揺れによって次々に倒壊しました。こうした被害を受けて、耐震基準は厳しく見直され、改正されています。
こちらは古い木造住宅の耐震実験です。片方は耐震補強をしていて、もう片方はしていません。(映像提供:防災科学技術研究所 Eーディフェンス)

広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「地震で揺れ始めてから数十秒くらいで壊れる。この動画通り。変形が進んで自分で支えられなくなったらすぐ倒壊する。逃げる余裕はない。できるとすれば倒れてくる家具から身を守るくらいしかできないと思う」
広島県の住宅の耐震化率は2020年度時点で「84.5%」。全国平均をやや下回っています。
県内の住宅18万9000戸で耐震性が不足し、このうち15万6000戸が木造と推計されています。しかし新たに耐震補強する住宅は毎年50件程度で、耐震化率の更なる向上は険しい道となっています。
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 三浦弘之教授
「住宅などは個人資産なので、国が強制的に何かをするのは難しい。安全性をまず考えて、必要であれば耐震診断や耐震補強を検討してもらう。意識の流れにつながっていけばいい」