「レイプにあったと聞いています」避難所で性被害

 ですが、各地の避難所で何も問題が起きていなかった訳ではありません。取材を進めると、これまで取り上げられることの少なかった、悲痛な叫びが聞こえてきました。

 当時、保健師として避難所を巡回し、被災者の健康相談に乗っていた黒瀬久美子さん(71)。

 (黒瀬久美子さん)「レイプにあったっていうのを、直接彼女から聞いています。体育館の舞台裏、支援物資がいっぱい積んであるんですね。死角になるんですね。支援物資の整理を手伝ってくれないかみたいな形で。行って、その裏で」

 避難所で性被害にあったという相談をたびたび受けたといいます。

 (黒瀬久美子さん)「校舎のトイレに行こうと思ったら距離があるわけです。1人で行ったら見られた、触られた、ついてこられたとか、引っ張られたとか。こういう性暴力って本当に言えないだけに、言いにくいだけに、傷が深いですし、何年も何十年もかかるんですよね。抱え込んでいく」

 それくらいのことで…そんな空気が当時の避難所には確かにあったといいます。