2025年の経済は“アメリカ一強”というのが多くのエコノミストの一致した見方です。それはなぜなのか、そしてその結果として日本を含む世界経済が被るマイナスの影響とは?専門家が解説します。
高い労働生産性はAIではなく、金融政策の帰結か
1月10日に発表された昨年12月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比で25万6000人増と予想を大幅に上回り、失業率は4.2%から4.1%に改善しています。

「数字が強かったのがサプライズですが、雇用統計が上振れてアメリカの強さがさらに示されることに『やっぱり』と思った人も多かったのではないでしょうか」と大和証券チーフエコノミストの末廣さんは言います。
末廣さんはこの背景を読み解くため、「労働生産性」に注目します。「労働生産性は労働者1人あたりどれくらいのGDPを生み出しているかの統計で、アメリカは2024年に前年比およそ2%で伸びており、結構な高水準です」
「高い伸び率はAIによる生産性革命があり、生産性が上がって経済が一強状態になっている、という見方も増えてきています」

ただ、“AI革命”なら他国にも恩恵があるはず。末廣さんは一強の背景はAIではなく、アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が世界経済に波及していく経路にヒントがあると解説します。