一年を通してさまざまな自然体験ができる学校が静岡県伊豆市にあります。そこで、子どもたちを対象に動物を捕獲する「狩猟体験」の合宿が行われました。猟師がわなを仕掛けるところを間近に見た子どもたちは何を学んだんでしょうか。
伊豆市八幡にある「またね自然学校」です。
<またね自然学校 斉藤大輔さん>
「皆さんに質問。シカの命をいただくくんだったら肉となるでしょ。骨となるでしょ。血となるでしょ。命がリレーしているよね。これはシカだけじゃないでしょ。牛肉好きな人?マグロ好きな人?シラス好きな人?お米好きな人?もうなんだってそうだよね。命だよね」
早速、子どもたちは猟師でもある斉藤さんとシカの居た痕跡を探します。
Q. どれ見つけた?
「この木、めくれてる」
山に入り30分。いくつもの鹿の痕跡が見つかりました。
<斉藤さん>
「どこどこどこ?」
<子どもたち>
「これ!」
<斉藤さん>
「ここに足跡が付いてるでしょ」
続いて、子どもたちはシカの目線になって、シカがどこを通るのか考え、わなの仕掛け場所を決めていきます。
<子どもたち>
「あそこ根っこがいっぱいあるから通りたくない」
「足がグネってなっちゃうかもしんないもんね」
斉藤さんは4か所にわなを仕掛けました。
<子どもたち>
「数センチずれたら悔しいなって思う。ずれないようにやったからかかってほしい」
<子どもたち>
Q. いま寒い?
「あたたかい」
「おやすみ」
仕掛けた罠には。
<斉藤さん>
「かかってないね」
シカはかかっていませんでした。
<斉藤さん>
「昔の人たちが一生懸命罠をかけてお肉取ったりしながら、生きてきたわけでしょ。スーパーもなく、コンビニもなく、やっとお肉が取れた時、どんな気持ちになると思う?うれしいよね、食べることにもっと必死で本気で動物たちと人間も一緒だったよね。そうやってみんな生きてきた」
<子どもたち>
「(昔の人は)今の人とは違って2倍、3倍くらい命に感謝してるのかなって思った」
「何も考えないで食べるのは寂しいかなって思う」
鹿の解体にも立ち会いました。
<斉藤さん>
「苦手だな、見たくないな、って人は無理して見なくていいよ。見なさいとは言わないからね。みんなが食べているお肉だって、元々ほとんど形は同じ。そういうことを誰かがこれをやっている」
別の日に捕れたシカ肉が振舞われました。
「いただきます」
「柔らかい」
「おいしい」
<子どもたち>
「普段食べているものも、これだけ手間がかかってるっていうのをあらためて思い出すきっかけにもなるし、一週間前とかまで生きていたものだから、ちゃんと残さずに、おいしく食べないといけないなと思った」
「『いただきます』とか、『ご馳走様でした』とか、何気なく言っているけど、そういうひと言ひと言にも意味もあるし、真面目に向き合うからこそ、周りから支えられて生きているんだなと」
子どもたちの胸の中に食への感謝の思いが刻まれていました。