理想は「先に賃上げ」 現状は「先に物価上昇」

 物価が上がっても給料が上がれば問題はないですが、現状はそうではありません。給料がどうやって上がるのか仕組みを見ていきます。

▼理想的な経済循環
①賃金が上がる→②消費が増える→③物価上昇→④企業に利益→①賃金が上がる

▼現状
①物価上昇→②賃金を上げる(物価上昇に追いつくため仕方なく)→③企業の利益は?

 現状は理想の経済サイクルとはかけ離れた状態になっています。
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 東京商工リサーチによりますと、全国の倒産件数は2020年~2022年までは減少傾向でしたが、2024年には9164件と倒産件数は上昇。「インフレ倒産」「人手不足倒産」「コロナ倒産」などと言われ、社内留保の多い大企業と中小企業で格差が拡大する事態になっています。

 国は中小企業でも賃上げがうまくいくように、ある制度で手助けをしています。それは「賃上げ減税(賃上げ促進税制)」。企業が従業員の賃金を一定以上引き上げた場合、法人税を控除する制度ですが、赤字企業はそもそも利益が出ていないためこの制度は響いていないのが現状だといいます。