「キャッチボールの何を大切にしてる?」

大冠ナインの練習で気になったのは、「基本」のキャッチボール。練習の序盤からかなりの時間を掛け、様々な種類を行うのが大冠の特徴であったがイチローさんがさっそく、指摘した。

様々な種類を行うのが大冠の特徴であったがイチローさんがさっそく指摘

イチロー:
ボールを投げる数が多い。もう少し少なくして別の練習をした方がいい。その方が効果は上がる。

イチローさんは「基本」をもう一度「考えてみる」事を伝えたかったと振り返る。

「例えばキャッチボールが大切。じゃあキャッチボールの何を大切にしてる?」

イチロー:
例えばキャッチボールが大切。じゃあキャッチボールの何を大切にしてる?相手の胸にめがけて、じゃあどっちの胸だよとかね。フワ~っとしてるんですよ。

イチローさんの指導が始まる。
イチロー:
相手の、こっちから見れば左側の肩を目指していくと、指に掛かったボールが(投げられる)。この距離感、すごく大事。この距離(キャッチボール)でたたけない人は、遠投やっても、ただ投げてるだけになっちゃうので、形がキープ出来ない。この距離でしっかりたたける(のが大事)。

「相手の、こっちから見れば左肩を目指していくと、指に掛かったボールが(投げられる)」

「基本だから」と鵜呑みにした瞬間、考える事が止まってしまう。強豪私立との差を縮めるためには、部員それぞれが意味を「考えて」行う、“質の高い練習”が必要だと伝えた。
イチロー:
みんなそのポテンシャルは高い。努力もできる。体力もある。あと、そのやり方すごく大事だと思うよ、上目指すならね。 生きた練習やってほしい。

「それは岐阜高校らしくないね。」

二校目に選んだのは、毎年2桁の東大合格者を出す県内トップの進学校、県立岐阜高校は創立152年。その野球部は最古の野球部(創部は1884年)の一つとしても知られている。 去年の夏は県ベスト8。20年以上、ベスト8の壁を超えられずにいる。彼らも、甲子園常連校との差を埋めようと、もがいていた。
部員:
僕たち大垣日大に秋季大会で負けたんですけど、力の差を感じて、普段の練習だけではパワーでは負けるような気がするんですけど、そういうのを補うためにパワーをつけるためにはどうしたらいいですか?

考える野球が持ち味のはずの岐阜高校はパワーの差をどうやって補うべきなのか…

イチロー:
それは岐阜高校らしくないね。そうじゃない勝ち方はいくらでもあるからね野球は。だから面白いんだよ。パワーのあるチームに対して、自分たちが少しだけパワー付けて近づけても勝てると思う?そこで勝負しちゃ駄目だよ。それね、やりがちなミスなんだよね。そうじゃないから野球面白いんですよ。頭使ってくださいよ。