スポーツクライミングの日本代表・楢﨑智亜選手は、世界選手権優勝など、数々の功績を挙げてきたトップクライマーです。2024年のパリ五輪に向け、トレーニングに励む楢﨑選手に密着しました。

■苦手な課題に、徹底的に取り組む

現在 楢﨑選手は、競技で使う壁を設置した専用施設で練習を行っています。
なかでも意識的に取り組んでいるのが、タイムマネジメント。2022年の東京五輪でペース配分に失敗した経験から、焦らずに時間を有効に使うことを課題としています。


そこで練習では、本来の制限時間をおよそ半分に減らしてチャレンジ。あえて負荷をかけ、追い込まれた状況で時間配分を考えてのぼる練習を積み、プレッシャーのなかでも力を出せるようになることを目指しています。
ほかに力を入れているのが、体の内側の筋肉“インナーマッスル”の強化です。


「軸が安定していた方が動きがブレない。力だけでなく内側の弱い筋肉で安定させられると、疲れづらかったりとか、長くもつようになる」と鍛えることでの効果を実感しています。
さらに、得意ではないという肩甲骨の筋力強化も。


これまで向き合ってこなかった苦手な部分にも、意識を変えて取り組んでいます。

■トップクライマーの妻・啓代さんの支え

そんな楢崎選手を支えるのが、妻の野口啓代(あきよ)さんです。啓代さんは2021年の東京五輪で銅メダルを獲得して現役を引退。その後、結婚しました。

啓代さんは週に数日、練習に参加。コースを設定するなどサポート役に徹しています。


トップクライマーである啓代さんとの練習は「自分にない発想の課題を作ってくれたりするので、勉強になります」と話し、おおいに刺激を受けているよう。


また、楢﨑選手が競技に専念できるよう、スケジュール管理や食事面でのサポートも啓代さんが担っています。
好き嫌いが多く発熱しやすいという楢﨑選手。啓代さんは栄養学に詳しいシェフからレシピを教えてもらい、食事作りに力を入れています。


こうした支えを受け、「今では啓代のサポートを受けながら、僕の競技を2人でやっている感じ。そこも背負っていきたい」と話す楢﨑選手。


「目標があるのは幸せなこと。そこに向かって頑張るというのはワクワクする。一番は(パリ五輪で)金メダルを獲ること。そこでもう一度クライミングを盛り上げたい。自分自身、常に努力し続けていかなくてはと思ってます」と決意を胸に、日々トレーニングに励んでいます。


TBSで毎週土曜日に放送されている『バース・デイ』では、さまざまな“人生に刻まれた 忘れられない大切な一日”に注目し、紹介をしています。

(「バース・デイ」9月10日放送分より)