会津の伝統「会津漆器」に現代の流行を取り入れ、新たな風を吹き込む若手職人を取材しました。

福島市の雑貨店、「ent(エント)」。福島県内で作られた工芸品や食品などを販売しています。その一角に並んでいる会津漆器。伝統的なデザインとは少し異なる可愛らしく温かみのあるデザインが特徴です。作家の名前は「ほくるし堂」です。

愛らしいデザインの会津漆器


ent・浅野聡子店長「いまどきというか、新しい会津漆器というイメージの作家さん。年代問わず売れているが、若い人に手にとってもらう機会が多いかなと思う」

「ほくるし堂」という名前、実は言葉遊びが隠されています。アルファベット表記にすると真ん中に「URUSHI」の文字が浮かび上がります。

アルファベット表記にすると「うるし」の文字が


そんな遊び心のある「ほくるし堂」さんに会うため、会津若松市を訪れました。
「ほくるし堂」として活動する二瓶由布子さんです。二瓶さんは、父も会津漆器の作家です。幼い頃から漆器は身近な存在でした。

ほくるし堂・二瓶由布子さん「小さいころから父が家の一室で作業をしていたので、全く漆器って遠い存在とは思わなかったです」

ほくるし堂・二瓶由布子さん


漆器の魅力は、肌触りや温かさだと話す二瓶さん。学生のころから漆器について学び、5年ほど前から「ほくるし堂」としての活動を始めました。幼い頃から親しんだ会津漆器の世界で活動をする中で、若い人たちになじみがないことに気が付きました。

ほくるし堂・二瓶さん「漆器はおじいちゃんおばあちゃんのイメージが多いので、若い世代に使ってもらいたいという思いがずっとあった」

そんななか、24歳のときにもともと興味のあった北欧のフィンランドを訪れました。

24歳の時にフィンランドを訪れる

冬が長く、寒いフィンランドでは家の中で過ごす時間が長いといいます。その時間を少しでも明るく過ごしため、北欧の雑貨はカラフルで鮮やかに仕上げられています。

明るく鮮やかな北欧デザインに惹かれた


ほくるし堂・二瓶さん「会津も北欧の冬に似ているから、楽しい明るい気持ちになれるようなモノづくりをしたいなと思って、こういうデザインを始めてみました。」

伝統的な重厚感のあるデザインだけでなく、明るくハッピーなものなら若い人たちにも魅力が伝わるかもしれない。二瓶さんは北欧のデザインを織り交ぜた会津漆器の制作を始めました。

Q.どういったところが特に北欧を表現されている?
ほくるし堂・二瓶さん「お花模様ですね。ボタニカル文様って呼んでいるんですけど、北欧のテキスタイルとか大胆な花柄の模様のものが多いので、参考にして図案にしたり」

北欧デザインを取り入れた会津漆器のブローチ


北欧のデザインは、最近の流行でもあり、様々な場所で目にするようになりました。こうした商品と差別化をはかるため、実際に北欧で使われているデザインの勉強なども欠かせません。

こうした結果、二瓶さんのSNSを見てみると…
『とってもとっても素敵です~!』
『可愛い!欲しい!』

若い女性を中心に、多くのコメントが届くようになりました。