■パパの育休に「収入減は困る」 海外では給付額“賃金の100%”も

まずは課題という部分ですけれども、育休を取りにくいという理由でSNSではまずこんな声があります。
「男性の育休取得が最近増えていると聞いたけれど、そんなことしたら収入が大幅減。育休の検討なんてできない」
どういうことなのか。まず、育休を利用しなかった理由として、収入を減らしたくなかったという男性の正社員の声というのは、厚労省の資料で41.4%もあったということなんです。育児休業中の給付金額は賃金の67%が支給されます(支給日181日以降は50%)。
育休に入る前の6か月の総支給の67%ということになりますが、とはいえ30歳前後ですと、総支給も40代50代の方と比べたときに給料いただけるのかということを考えると、結構これで1人で養っていくのは難しいという状況もあるかもしれません。
そんな中ノルウェーではこのような例があります。ノルウェーでは条件さえ揃えば、育児休業中の給付金額が賃金の100%になっていくと。2012年の段階ですけれども、父親の育児休業取得率というのは90%まで取得をしているという状況があります。
■取得率100%の会社も… きっかけは社長の一言
また、育休を利用しなかった理由としてもう一つ挙げられるのが、取得しづらいという雰囲気というところです。上司などの理解がなかったという声が男性で言うと27.3%、「上司が育休を取っていないから言い出しづらい」というようなSNSの声もありました。
そこで、こんな改善策を行った企業もあるんです。

新潟の屋根の金属部品製造「サカタ製作所」です。従業員156人の会社なんですが、2018年から育休取得率がなんと100%。さらに2021年の取得日数が46.7日。始めた頃は大体18日ぐらいだったので、取得率だけではなくて日数も増えているという状況があります。
きっかけになったのは、朝礼での社長のこんな一言でした。

「男性職員も育休を取ろうよ」というのを、管理職もいる前で言ったというのが大きなきっかけになったそうです。全員いる前で育休宣言をし、育休を取得しやすい環境にしたということなんです。
そもそものきっかけは、総務部に育休を取りたいんだけど、取りづらい空気があるんだよねっていう相談があったそうです。それを社長がたまたま耳にしたことで、これやっていこうよというふうに考えて動き出したそうなんです。
そして、自分にしかできない仕事があるから休めないってことも取りづらさの要因としてはあると思うんですけれども、サカタ製作所では、製造スタッフの勉強会や資格取得で全ての機械が使えるようにしたり、あるいは事務スタッフも専門的な知識を社内SNSで共有をしたりと、こういった工夫も行っている。














