“スポーツ界のスーパースター”へ
その後、大谷の活躍も相まって徐々に規制は厳しくなり、オフにFAを控えた2023年には取材機会が登板時に限定されたが、もう大谷は「メジャーリーグの顔」と称されるほどにスーパースターになっていた。
同年9月15日のタイガース戦後に、右脇腹の炎症で欠場を続けていた大谷が自身のロッカーを整理して球場を後にしたことがあった。右肘じん帯損傷のため同年の残り試合の登板は既に消滅しており、早期のトミー・ジョン手術、打者でも残り試合の欠場を決断した可能性があったが、エンゼルス広報は「状況は変わらない。16日(同17日)に何らかの発表を行う予定」と説明するのみ。「ジ・アスレチック」のエンゼルス担当サム・ブラム記者が、説明に困窮する球団関係者に「彼は野球界だけではなくスポーツ界のスーパースターなんだ!」と問い詰めた場面があった。
日米合わせて約20人の報道陣も“突然の別れ”に騒然となった。ただ、それは米メディアにとっても大谷がそれほど大きな存在になっていることを証明する一幕でもあった。
メジャー移籍後の大谷が本塁打を打って試合後も取材を受けないことがあると伝え聞くと、驚く記者がいるが、大谷が本塁打を打つたびに取材に応じていてはキリがないのも事実。この件についても大谷の本心は分からないが、大谷自身が問題ない状況でも球団判断で自粛しているケースは多々あった。可能な範囲で大谷に話してほしいメディア、話すことで負担を掛けたくない球団という主張は、長年解決せずに現在に至っている。