
面会から4日後、札幌地裁は海野被告に判決を言い渡しました。懲役4年6か月。
札幌地裁・渡邉史朗裁判長
「できれば人生長生きして娑婆で終わってほしいと思っているので、もし出所できたら、どうやって暮らそうかちゃんと考えてくださいね」

海野被告(88)
「はい、すみません」
次に刑務所を出るとき、海野被告は93歳になります。
(HBC報道部記者:三栗谷皓我)
【高齢窃盗団の実行役は88歳】
札幌市や江別市内の空き家から金品を盗んだなどとして高齢の男3人が逮捕・起訴された事件。札幌市北区の海野秀男被告88歳と札幌市白石区の松田秀美被告71歳は5月、江別市の空き家に侵入し、ウィスキーを盗んだ罪などで、そして盗んだウィスキーを保管したとして、渡辺健一被告69歳も起訴されています。
9月の初公判で、車いすに乗って出廷した88歳の海野被告は、起訴内容について「間違いないです」と認めました。一方、71歳の松田被告は「盗みをする目的で運転はしましたが、侵入と盗みはしていません」と共謀を認めたものの、窃盗の実行犯であることは否認しました。
検察側の冒頭陳述などによりますと、海野被告は福岡県で生まれ、小学校を卒業後、漁業を手伝っていましたが、その後職を転々とし、犯行時は無職で生活保護を受けていました。
3人は、服役していた札幌刑務所の同じ工場で仲を深めたといいます。3人は、今年春までにそれぞれ出所すると、海野被告は自分の名義で契約した携帯電話を松田被告に渡すなど、親しい関係は服役後も続きました。そんな3人が再び、盗みを始めたのは5月ごろ。生活保護を受けていた海野被告(88)が食費などの生活費に困り、空き巣をやろうと考えたのがきっかけでした。
足が不自由だった海野被告(88)は松田被告(71)に電話で「こと(窃盗)をするので運転してくれないか」と依頼。松田被告は出所後に面倒を見てくれた恩などから、海野被告の依頼を引き受け、渡辺被告(69)も盗んだ金品の保管などの役割を引き受けました。
犯行現場へ送り届けるのは松田被告。窓ガラスを割るなどして侵入し、金品を盗む実行役は海野被告。そして渡辺被告は、盗んだ金品を保管するなどの役割を分担していました。
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