海野秀男被告のスケッチ(11月 札幌拘置所)

■55歳の時、犯罪を断ち切ろうと決意
海野被告は約30年前に一度、犯罪を断ち切ろうと決意した時期がありました。55歳の時、体力の衰えを感じたことが理由でした。

海野秀男被告(88)
「年が年だから家も貸してくれない。私たちを雇ってくれるところは土木関係とかならあるが、体力に自信がない。若さに任せて悪いことをやったから、自分一人で生きていくには難しい時代になった」

刑務所を出てから仕事を探しましたが、決意とは裏腹に、海野被告を受け入れてくれる会社はなく、再び犯罪に手を染める日々に戻っていったのです。

海野秀男被告(88)
「生活できないから悪いことをしてしまう。金に限界が来ると悪いことをしてしまう。自分勝手で申し訳ないと思っているけれど」

2024年1月。札幌刑務所から3度目の出所を迎えた海野被告は、今度こそまっとうに生きようと、生活保護を申請。自分で探した保証人不要の不動産会社を通してアパートを借り、生活を始めました。13歳で家を出てから、初めて「まともな社会」で暮らすことができたと振り返った海野被告。この話をしているとき、面会の中で初めて笑顔を見せた瞬間でした。

海野秀男被告(88)
「何とか自分でマンション借りて。まじめにやって我慢するのは苦しいけど、少しの間だけ社会にいて、まともな生活をして楽しかった」

しかし、その生活も長くは続きませんでした。