廃墟ビルが乱立・・・・中国人が多すぎて「まるでカオス」
言論の自由、特に政府批判が統制されているカンボジア。中国を批判することは結果、中国と親しい関係を築いているカンボジア政府を批判することにつながるため、おおっぴらに中国批判を口にする人は少ない。しかし、聞いていくと徐々に本音を打ち明けてくれた。
ある女性は「あまりに中国人が多すぎてカオスのようです。ここはまるで中国です。彼らは自由にふるまいすぎるし、攻撃的で怖いです。この状態はよくないですが、ほかに選択肢はありません」と嘆いた。公園でくつろいでいたビジネスマンの男性は「中国からの投資は全く歓迎しません。中国人はすべての仕事を奪っていきます。中国の影響力が大きくなることを恐れますが選択肢はありません。どうしたらいいのかわかりません」
人々の懸念は、現実のものになっていた。
シアヌークビルの街で目につくのは、建設途中で放置された、廃墟のようなビル。新型コロナの影響による資金繰りの行き詰まりや中国国内の景気悪化など理由は様々だというが、シアヌークビルだけで、このような「廃墟ビル」は360棟以上に上るという。

カンボジア人男性
「(工事が止まると)経済に影響が出ますし、観光客も減ってしまうと心配です」
もし中国がカンボジアから投資を引き揚げてしまったらどうなるのか?「廃墟ビル」はカンボジアの将来を予見しているようにも見えた。中国商務省によると2024年、カンボジアの中国への債務は39.9億ドル、およそ5800億円に達している。
さらに市民を不安にさせているのが、中国系カジノの存在だ。外国人専用でカンボジア人は立ち入ることはできないという。なかには違法なものもあるといい、犯罪の温床になるのではという懸念も出ている。カジノの近くに住む男性はこんな不安を口にした。「あまりに多くの中国人が来すぎるのが問題です。治安も悪くなりました。中国人は私たちカンボジア人に敬意を払っていません。お金に物を言わせ、態度が傲慢で失礼です」
中国が影響力を増しているのは、経済だけではない。
