■2022年冬 コロナとインフルエンザ同時流行の見通しは?

ホラン千秋キャスター:
日本の感染対策というのはここ数年変わっていない。その中でインフルエンザは2021年、2020年などは患者さん大変少なかったわけなんですけれども、今年は多くなりそうな見通しなのでしょうか?
松本主任教授:
インフルエンザの流行というのは国から国にインフルエンザが持ち込まれて、それで流行が起こるわけですけれど、オーストラリアではもう流行が起こっています。2021年は人の行き来がほとんど制限されていましたけど、2022年はだいぶ人の行き来が相当増えていますので、そういう意味ではコロナも入ってくるかもしれませんけど、インフルエンザもやはり同じように入ってくるかもしれません。それが国内で少しずつ広がっていって、2022年の冬の流行に繋がっていく可能性は十分あるんだろうと思います。
井上貴博キャスター:
ワクチンの話もそうなんですけど、たぶん皆さんは今、ご自身のリスクと天秤にかけて打つ打たないを判断されてると思うんです。その中で、打て打てとばかり言われることに少し違和感がある方は、一定数いらっしゃると思うんです。第7波の致死率や重症化率が各年代でインフルエンザと比べてどうなのかというデータなども丁寧に提示していただかないと何か判断ができないといいますか、そういったところも感じるのですがいかがですか。
松本主任教授:
仰る通りオミクロン株は致死率0.1%ということで、それまでの色んな変異株に比べて明らかに重症化率や致死率は、確かに減ったかもしれません。ただし高齢者にとってみれば、やはり重症化しやすいということで、命を守るワクチンであることは変わりないですし、若い人たちは重症化しないからいいかもしれないと思っても、「後遺症」もワクチンで減らせるということもあります。そういう意味では自分は重症化しないからワクチンを打たなくていいというふうに考えるのは再考していただいて、それぞれの世代にとって意味は違うかもしれませんけども、ワクチンを打つ意義はあるというふうに思います。
■ワクチンと後遺症との関係性は?「接種回数多いほど…」

日比キャスター:
松本先生からもありましたが、後遺症についてこのようなデータをご紹介します。
東京都の分析結果(8月25日 モニタリング会議資料より)ですが、オミクロン株の疑いで都内の外来を受診した後遺症が疑われるケースが、2022年に入ってから7月半ば頃まで119例報告されています。
主な症状としては、▼倦怠感46%、▼咳22%、▼頭痛18%で、▼その他62%の方に後遺症とみられる様々な症状(めまい、脱毛、全身の痛みなど)が報告されています。

SNSのコメント
「低気圧で頭痛なのかコロナの後遺症での頭痛なのか、自分でもよくわからない」
「後遺症っていっていいのかわからないけど、やる気もでないし、憂鬱感がすごくて、なるべく人に会いたくなくなってる」
7月に感染したNスタスタッフ
「感染前よりも髪の毛が多く抜けている感じがする…これって後遺症なの?」
こういった様々な声も聞こえてきています。
アメリカの医療雑誌での発表(米JAMA資料より)をご紹介しましょう。ワクチンと後遺症との関係性についてです。
調査対象は新型コロナウイルスに感染し、入院不要と診断されたイタリアの医療従事者739人でした。そのうち4週間以上も症状を訴えた、つまり後遺症があった方は229人いたということです。
ワクチンの接種回数別で後遺症があった割合を見てみると▼未接種 41.8%、▼1回 30%、▼2回 17.4%、▼3回 16%となりました。
接種回数が増えると、後遺症の割合も減っているということがわかります。接種回数が多いほど後遺症が残る可能性が低くなる傾向にあると報告されています。
ホランキャスター:
倦怠感であったり憂鬱感であったり、周りから見ると目には見えないけれども、本人たちにとっては日々を生活していくのに大変不便だなと感じる要素になってくるんだと思うんですが、やはりワクチンを接種することによって、この症状というのは改善傾向にあるというのは日本でも変わらないんでしょうか?
松本主任教授:
当然ワクチンを打てば免疫は高まります。そうすると体の中で増えるウイルスも一定程度抑えられますので、結果としていわゆる色んな臓器のダメージ、そういったものも軽く済みますから、そういう意味では後遺症も軽く済むということで、実際に色んなデータが後遺症も軽くするということが、今、示されてるデータ以外にも出ていますので、それは実際に証明されてることだというふうに受け止めていいと思います。
井上キャスター:
分科会でも議論が出ましたけど、かかりつけ医とかで見てもらうような“一疾病”に向けた動きっていうのは、いつ頃を想定してらっしゃいますか?
松本主任教授:
少なくともこの冬の流行を終えた後ですね。例えば治療薬にしろワクチンにしろ、医療体制もそうなんですけど、これからもっと変えていかなければ中々すぐには状況は改善しないので。私たちはとにかくこの冬をどうやって乗り切るか、乗り切った後はだいぶ良い方向に持っていけるんじゃないかというふうには思っています。