コントは瞬発的に分かる役柄が重要

――平井さんはコントでも様々な人物を演じられますが、ドラマとはどのような点が異なりますか。
コントは瞬時にキャラクターを理解してもらう必要があるのに対し、ドラマでは物語が進む中で徐々にキャラクターの本質が明らかになっていくという違いがあります。我々男性ブランコは5分から10分くらいのコントをやることが多く、その短い時間で深い人物描写をすることは難しいんです。
さらに、1日に複数のネタを披露することもあるので、1つ1つの役を深く掘り下げることが難しく、視覚的にもキャッチーなキャラクターを選びがち。たとえば、キャラクターに「こういう生い立ちがある」という設定があったとしても、それを見た目や最初の一言で伝えられるか、1分以内に観客にそのキャラクターを理解してもらえるかが勝負。
そのためコントでは説明的な表現や、少し過剰な演技をすることが多いんですが、ドラマではそうした演技をすると逆に「そんな人はいないだろう」と離れていってしまうきっかけになると思うんです。ドラマでは、所作や目線、言葉のトーンなど、細かい部分を通じてキャラクターを自然に伝えていくことが必要であり、それが視聴者にとっての楽しみでもあると思います。ここが、コントとドラマの大きな違いですね。