役作りはプロの成せる技だと実感

――デザイナー兼CEOという役柄ですが、平井さんご自身はイラストは得意ですか。

絵は好きですが、イラストが得意な坂東(龍汰)くん(主人公の弟で自閉症スペクトラムの青年・小森美路人を演じている)と比べると僕のは落書き程度ですね(笑)。「美術館に通っています!」というほどではありませんが、絵を見ることは好きです。特に好きなのは、ルネ・マグリットの「紳士が雨みたいに降っている絵(『ゴルコンダ』1953年)」やヒエロニムス・ボスの作品など、少しユニークな絵ですね。また以前、僕たちの単独コントライブのポスターを作っていただいた画家の網代幸介さんの絵も大好きです。そう考えると、自分の好みに合う絵には触れてきたのかなと思います。

――坂東さんと共演された印象を教えてください。

坂東くんは最初からずっと明るくて、自然と人の懐に入ってくれる方です。話しやすくて、現場の空気を明るく盛り上げてくれる存在ですね。

でも本番になると、瞬時にみっくん(美路人)に切り替わるんです。それを目の当たりにして、「役者の方たちはこうやって役を自分の中に落とし込んでいくんだ」と感心しました。まさに職人技というか、プロならではの技術だと感じました。坂東くんは自分の内面と役をしっかり結び付けているようで、彼にしかできない小森美路人という青年を作り上げていると思います。それが彼の役作りにおける魅力であり、引き込まれるポイントだと感じました。