「家庭内離婚」という言葉も…

大村秀章知事の支援も諸刃の刃だった可能性もある。

大村知事といえば、2011年の愛知県知事選と名古屋市長選のダブル選挙の頃こそ河村さんと蜜月関係だったが、次第に距離が生まれ、2014年頃には河村さんが「家庭内離婚」という言葉を使うほど、両者の関係は冷え切っていた。

その後も溝は深まるばかりで、もはや修復は不可能な状態だった。

こうした中で、河村市政路線をストップさせる絶好のチャンスが到来した。

河村さんは市長を辞めて衆院選へ。大村知事はすかさず会見を開き、市政を放り投げたとして河村さんを批判し、大塚さん支援を打ち出したのだ。


大村知事は4期13年の実績を誇り、今や愛知県議会も手中に収める実力者。その人が本気を出せば、当然一定の票は上積みできたと予想されるが、一方で河村支持層が固くまとまって、広沢さんの支援を分厚くしたことも考えられる。

つまり、この構図も河村前市長VS大村知事の10年戦争の構図そのものなのだ。

大塚陣営は、この2つの闘いの構図を切り離しての選挙戦ができず、代理戦争の象徴になってしまった。

理由は、広沢陣営が街宣車に「河村・広沢VS四大政党」「河村前市長VS大村知事」という構図を描いたポスターを張り、大塚陣営が消したかった対立を鮮明にし、大塚さんを無理やり土俵に上げる作戦に出たからだ。