「決められない国会」では野党も責任問われる
ーー委員長のポストについて。これまでは与党がほとんど決めたわけですけれども、予算委員長、法務委員長などが立憲から出ました。
伊吹文明 元衆議院議長:
法務委員長は、よく言われるように夫婦別姓の問題を扱うっていうんで。どういうことになるのか今後の国会審議を見ないとわかりませんが。議運委員長と予算委員長と、議長、副議長はどうするかっていう話が(与野党間で)あったようですけども。僕の議長の経験から言うとね、議運委員長ってのは国会の段取りだとかいろいろなことがありますけどね。これは議長がしっかりしてればね、各党としっかりした話ができるんじゃないかと僕の経験からは思うんだけどね。
だけど、予算委員会も自民党が今まで圧倒的な多数を持ってたんで。今更こういうことを自民党に属していた者が言うっていうのはどうかと思うんだけど……やはり委員長だとか議長っていうのは、中立公正なんですよね。立場は。だからあまり妙な運営をして結果的に予算が成立しないっていうようなことになると、かえって立憲さんの方が今度は批判を受ける立場にもなるし。従来のような国会軽視というか国会の形骸化がなくなったという意味ではね、僕は良かったんじゃないかと思うけども、これが「決められない国会」っていうことになると、やはり次の選挙で野党も責任を問われますからね。だからお互いにやはり国民目線にもう一度回帰して、「熟慮の国会」にしてほしいと思いますよね。
「熟慮の国会」にしていないのはどこの党で、どういう状況が起こってるかっていうことをやっぱり国民に理解してもらわないといけないし。野党も、そういうことをやってれば自分たちが批判されるっていうのはわかりますからね。心ある野党の幹部はそういうことはしないと思いますよ。
SNSの影響力が目立つ選挙戦 規制が必要か
ーー来年の参院選に向けては。
伊吹文明 元衆議院議長:
当面の選挙はどうするかっていうことになると、やっぱり現実問題としては政治と金の問題を野党は必ず参議院選挙まで引っ張ろうとしますよね、当然。自民党は、「いや、それはそれで申し訳ないことだけれども、こういうけじめをつけました」っていうことをもう少しはっきり出して、そして「熟慮の国会」にすべきなんだけれども。サービス合戦で物事が決まらないですよ、という状況を国民がどう判断していただけますかっていうことにしないとね。
参院選は県で1区ですから、これは知事選挙と一緒なんですね。ということは、今回兵庫県でいわれたようなことが起こりかねない。テレビだとか新聞のメディアは選挙になるとやはり公選法上のことを配慮しながら公平に報道するでしょう。ところがSNSってのは一方的に入ってくるわけだから。入ってきたものを、いろいろな人の評論だとかコメントをテレビや新聞のように載せないから、みんな信じちゃう。だから、この規制をどうするかっていう問題。それから今回の立花さんの話じゃないけど、他人の応援演説のためにSNSを使うために立候補するっていうようなことをどうするか。それから東京の都知事選で起こった掲示板のハイジャックの問題とか、公選法を少しやっぱり考えないといけない。本当はね、法規制をするんじゃなくてね、個人の良心、政党の矜持のようなもので、こういうことをやらないっていう社会が一番いいんだけどね。