写真家 高橋美香さん:
「(2002年にジェニンで起こったイスラエル軍の軍事侵攻について)その当時あったことを聞かせてほしいと近所の人に尋ねたところ、『お前に話して何になるんだ』『亡くなった人かえってくるのか』『あの時、世界中はテレビで見ていただけじゃないか。今更なんだよ』という風に言われました。それでとぼとぼ歩いてバス停に向かって帰っていたんですね。そうするとこの(写真の)歯の抜けた少年がずっと私の後ろをついてきて『人形劇見に行こうよ、チケットあげるからさ』とついてきました。最後は根負けをしてついていったところ、この人形劇が行われていました」

衝撃を受けた「戦車に投石する少年」

高橋さんがパレスチナを知ったのは中学1年生の時。1987年からパレスチナ人がイスラエルの占領地支配に対して一斉に起こした抵抗運動、「第一次インティファーダ」のことをテレビを通して知りました。

自分と同じくらいの年齢の少年が戦車に石を投げているその映像に衝撃を受け、大学卒業後パレスチナを初訪問。以来、カメラを片手に生活の中から見える現地の人々の「声」を映し出しています。

今回の写真展では、これまで撮影した作品の他、仙台の会場の1つ青葉区のブックカフェには、高橋さんが2011年から交流を続けている西岸地区に住む女性マハさんの家族の元を、情勢悪化が続く去年12月から今年にかけ滞在した時の写真も多数展示されています。