■初めて見る両陛下の"黒マスク"

天皇皇后両陛下がエリザベス女王の国葬に出席するため、日本を発ち、日本時間の18日午前2時過ぎに、イギリスに到着されました。

出発時に両陛下は白いマスク姿でした。ところが到着時には黒いマスクを着用されていました。ロンドンから送られてくる映像をみて、私は驚きました。両陛下の「黒マスク」を見るのは、初めてだったからです。

イギリスはすでに「ウイズ・コロナ」。入国時にワクチン証明も陰性証明も必要ありません。エリザベス女王の弔問のために行列する市民もマスク姿の人はほとんどいません。
こうしたイギリスの状況について、出発前、宮内庁はコロナの感染対策として「マスクをつけるのか、しないのか」「マスクをつけるなら色はどうするのか」とかなり悩んでいたのです。
■白いマスクは「病人」「病院」のイメージ?

両陛下はコロナの流行が始まって以降、東京都外、いわゆる「地方」には訪問されていません。直近の地方訪問はおととし1月の埼玉県で、もう3年近く前です。都内の行事への出席は、今年に入ってから増えましたが、いつも大きな白いマスクをしっかりされた状態です。
地方訪問もまだ再開されていない中でのいきなりの外国訪問。それも、「ウイズ・コロナ」の英国です。さて、マスクはどうしたら良いのでしょうか?宮内庁としては、マスクをはずしてしまうことは、ためらったようです。
マスクをするとして、色も悩みの種でした。白いマスクは「病人」「病院」のイメージで、海外ではやはり奇異に見えるようです。
そこで、宮内庁は悩んだ末に、両陛下の英国到着の際は黒の喪服に合わせた「黒いマスク」を付けていただくことにしたのだと思います。服装とコーディネートされていれば、海外の人が見れば、そんなに奇異ではないのかもしれません。
■どうなる国葬での「マスク」

さて次の問題は「国葬」です。
宮内庁幹部は、「女王の国葬で、各国の王室の人たちや、元首クラスの人たちがマスクしてないところで、両陛下だけマスクをされるのは非常に奇異に見える。だから国葬の場ではマスクを外されることも検討している」という感じでした。
女王の国葬は世界中に配信されます。両陛下の姿が、奇異に見えないように配慮するのかもしれません。ただ、国葬に行かれる際には、招待者はバスにまとまって乗っていくようです。この各国の王族や大統領が乗り合わせるバスの中はどうされるのでしょうか?
マスク一つとっても海外のコロナ対策の違いや文化の違いが見えます。女王の国葬のニュースを見る際に、両陛下や参列者の「マスク」に注目してみてください。
(TBSテレビ報道局 解説委員 牧嶋 博子)