保険料「106万円の壁」が撤廃されても「週20時間の壁」が残る?

日比キャスター:
一方で、厚生年金への加入要件から生じる「106万円の壁」を撤廃するのかについても、厚生労働省の部会で議論されました。

「106万円の壁」とは、年収が106万円を超えると保険料を負担しなければならなくなり、結果として手取りが減ってしまうというものです。

今議論されている対象は、パートタイムなどで厚生年金に加入している短時間の労働者です。条件には、たとえば次のようなものがあります。

●週20時間以上の労働
●従業員51人以上(企業の規模)
●年収106万円以上
 など
※学生除く

厚生労働省では企業の規模、そして年収の要件は撤廃する方向で議論が進んでいますが、“週20時間”というもう1つの壁は残ることになります。

例えば時給1000円の場合…
▼週20時間働いた場合
年収は1000円×20時間×52週=104万円になります。しかし厚生年金に加入すると手取りが約88万4000円になり、15%ほど減ってしまうのです。

▼週19時間働いた場合
年収は1000円×19時間×52週=98万8000円になり、なおかつ厚生年金に加入しなくてよいため、結果として、週20時間働いたときのほうが手取りが減ってしまうわけです。

つまり、106万円という年収の壁がなくなったとしても、週20時間という「労働時間の壁」によって手取りが減ってしまうため、根本的な解決にはならないのではないかと指摘されています。

これらについて政府は、年末までに結論を出すとのことでした。