衰退する基礎研究への「支援」と「理解」を促したい 裁判への思い
本庶さんが裁判という手段に打って出た理由、それは衰退し続ける日本の基礎研究への支援と理解を促したい思いからでした。
(本庶佑さん ※2021年取材)「(免疫治療薬のような)アカデミアの発明は、何十年に1回しか起こらないんですよ。そういうときにアカデミア(大学や研究機関)が正当なリターンをもらえないと。がんばって良いことがあったらそれなりのリターンがあると。(リターンは)個人的にも一部あるかもしれないが、もっと大きなところに、アカデミア全体に。そういう環境を作っておかないと、日本の科学は以前のように国のサポートがある時代ではないですから、(アカデミアも)自立していかなくてはならない」
裁判は双方の主張が対立。本人尋問も行われ、本庶さんも法廷に立ちました。結果、製薬会社側が京都大学に研究を支援する基金を設立し、約230億円を寄付することで和解が成立しました。
(小野薬品工業 相良暁社長 ※当時)「京都大学の志の高い若い研究者の皆さんが精いっぱい研究できる環境が整えられる。我が国の産学連携の新しい形を示すことができた」