ある日、クラリネット奏者のディルク・アルトマンさんが工房を訪ねてきました。ドイツの名門、シュトゥットガルト放送交響楽団で、首席奏者を長年務めています。訪問の目的は、新作クラリネットの開発サポートです。

アルトマンさんが「ヨーゼフ」のクラリネットで「C♭」の音を出すと…

♪製造部組立課 大浜敬生チーフ
「…今、低いですね」

音を聞いて楽器を調整する大浜さん(左) 右はアルトマンさん

楽器の構造上、不安定な音が存在するクラリネット。通常は演奏家が演奏方法を工夫してカバーしますが、ヨーゼフの場合は…穴の大きさなど、楽器の構造を変えてしまいます。

♪美ら音工房ヨーゼフ 仲村幸夫社長
「(アルトマンさんが吹いたクラリネットは)ちょっと下の音が出るんですよ、ウーって。今でも十分に出るんだけど、もっと簡単に吹けるといい。変えてみようって」

♪製造部組立課 大浜敬生チーフ
「音に影響するパーツの寸法を今から変えます。もう毎回、微調整微調整ですね」

他のメーカーと比較すると、穴の数や、金属パーツの配置などが大きく異なります。

同じクラリネットでも細かなパーツ配置などが違う 左がヨーゼフ製

音程や音の響き、楽器の操作性を追求した結果、ヨーゼフは独特な構造にたどり着きました。

♪美ら音工房ヨーゼフ 仲村幸夫社長
「良くなるか悪くなるか、わからないね。やってみないとわからないんですよ」

調整後、アルトマンさんが試し吹きをすると…

♪美ら音工房ヨーゼフ 仲村幸夫社長
「さっきよりはいいんじゃないの」

♪シュトゥットガルト放送交響楽団 首席クラリネット奏者 ディルク・アルトマンさん
「非常に興味深いです。なぜなら、そのようなカップ、小さなパーツがクラリネットのサウンドを完全に変えるからです。そしてどこでも、下の音だけでなく上の音も聞こえます」