たかが2cm、されど2cm。「1m90」の高い壁に泣いた

女子走高跳の日本記録は2001年に記録された1m96。そこから20年以上、一度も破られておらず、日本女子陸上界の主要種目の中で”最古の記録”とも言われている。現役選手でこの記録に一番近い髙橋でさえ、8cmの差がある。

それでも髙橋は目先の目標に集中した。「まずは、1m90」。この高さも2013年以来、超えられていない大台。髙橋自身も春頃から試合で何度も挑戦し、”跳ぶ準備”を整えてきたが、自己ベストより2cm高い”壁”は思っていた以上に高かった。

日本選手権 1m90までミスなく跳ぶ高橋(6月、新潟)

6月に行われた日本選手権。五輪出場には「1m90を跳び、優勝」が条件だった。1m81の時点で髙橋の”独り舞台”となり日本選手権3連覇は確定したが、結果は1m87と目標には届かなかった。今まで泣き顔を見せたことがなかった髙橋の目には、涙が溜まっていた。髙橋は当時を振り返った。

「本当にどうしてもあの場で1m90を飛びたかったので、それに関しては本当に悔しい。”もう跳べる!”って思って行ったのに跳べなかったので、あの時は悔しさ全開でした」