ーー今後の為替の動きをどう見ているか。

三井住友信託銀行 瀬良礼子氏:

24年前1998年の147円台というのが比較されています。私は147円が円安のピークではないかと見ています。ほかにはアメリカでは中間選挙を控えています。来年になれば、おそらくブルーウェーブ(上下両院で民主優勢)が解消され、バイデン政権のレームダック化が警戒されます。アメリカ経済が悪くなってくる時に、日米金利差があるからといって、アメリカの景気が悪いのにどんどんドルを買うかと。11月8日の中間選挙の前、FOMC(連邦公開市場委員会)が直前の11月2日になるので、こういったタイミングがクライマックス(円安ピーク)に該当してくるのではないかと思います。


今年に入って年初から30円ぐらい円安が進んでいる。長期では前のピークが98年8月の147円14銭、瞬間的には64銭をつけている。ここが一つのターゲットになっているということだ。この先の円安はどこまで進むのか、アナリストに聞いた。


三井住友信託銀行の瀬良礼子氏は「9月のFOMCから11月のFOMC に円安のクライマックスがある」、バルタリサーチの花生浩介氏は「日銀は円安容認ではなく、円安定着を狙っている」、三菱UFJモルガンスタンレー証券の植野大作氏は「来年の春頃までは円安基調が続く」とみている。三人とも予想レンジは近いが、瀬良氏は「ピークは今秋後半」としているが、植野氏は「来春ごろまで円安」と見方が分かれている。「円安定着を狙っている」というのは、黒田総裁のインタビューを見ても「経営の不透明感が増すから円安が良くない」と言っているが、「円安が国民生活に打撃を与えるからいけない」とか「水準が安すぎる」とかそういうことは言ってない。


第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミスト:
日銀、財務省など各機関で調整した範囲で言っていて、黒田日銀総裁の心は「円安になると物価が上がる」と、これを内心歓迎しているのではないかと私も思います。