経済への国民の不満が反映された選挙 日銀は利上げの“準備”進めるか

末廣:
選挙の結果って、選挙がこうだったから、政策がこうなって経済がこうなるっていう話をしがちだと思うんですけど、経済を見るうえでは、なぜ今回のような選挙結果になったのか。政策があって経済じゃなくて、経済があって選挙があってと考えると、やっぱり家計が弱いということだと思います。私たちが思っていた以上に今の経済状況に不満を抱えていて、苦しいという思いが今回選挙に反映された。特に国民民主党の手取りを増やすというところも刺さったというのはあると思うんですね。そう考えると、やっぱり円安は良くないという思いが日銀の中でも続いている、少なくとも政治は、円安は良くないという流れが続いていくと予想しているのではないかと思いますよね。

佐藤:
今回の裏金をめぐる選挙も、やっぱり経済、体感経済との関連もあるんじゃないかなと私も個人的に思いますが、末廣さんは。

末廣:
すごくあると思いますね。マーケットの動きと実感っていうのはやっぱりズレは当然あると思いますし、注意しなきゃいけないと思うのは、最近、実質賃金が上がるって言いますよね。あれ何が上がってるかというとみんな前年比を見てるんですよね。実質賃金が前年と比べて上がるっていうところをみんな期待して、株式市場も期待してるんですけど、でも1年前と比べて生活してる人って少ないと思うんですよね、週末の選挙結果も、実質賃金上がってるのにこんなに不満があるんだって思ったんですけど、それあるよなと。

だからやっぱり日銀としては「円安はけしからん」とまたなる可能性があるので、そういう雰囲気が出てきた時に機動的に動けるように。しかも8、7月は突然利上げしてかなり批判されてしまってるので、より事前に織り込ませたいっていう思いがあるでしょうね。ということで、今週の金融政策決定会合については少し利上げのトーンが出てきてもおかしくない、タカ派予想です。この話をすると、反論もあるんですよ。これ面白いんですけど「いやいや12月は動かないでしょう」と。

佐藤:
はい。「利上げは1月でも良くないか」と。なんで12月は動かないのか?

末廣:
これは面白いんですけど、12月って予算ですね。予算を閣議決定するときに、財務省は金利の「仮置き」をつくるわけですよ。金利の計算をする時にですね。それで12月に計算してたのに金利が日銀で動くと、必ず「動いちゃったけど大丈夫なんですか」とかって言われる。財務省は怒る。

佐藤:
なるほど確かにそうかもしれない。

末廣:
ただ例がないわけではなくて、2年前に黒田さんが総裁だった時にYCCを拡大して年末に大慌てになった、あの時は12月でも動いてきたので。12月に動かないわけではないと思うので、実際動くかどうかは別として、日銀は利上げに動く準備というのは今回やってくる可能性は高いと思ってます。