47歳の藤岡氏「若い力が必要」 72歳の佐藤氏「私が中心となって政治改革を」
藤岡氏は街頭での演説を重視し、各地へ転戦。ある日の下野市での演説では「政権交代こそ、最大の政治改革。若い力が必要だ」と強く訴え、有権者と目を合わせ握手をして回った。そのうちの一人は「世代交代しないと。若い世代の考え方にならないとダメ 」と話した。

一方の佐藤氏は、小山市で行われた演説の中で「私が中心となって政治改革をしたい。疑念をもたれるようなことのない政治資金のあり方を作っていく」と訴えた。演説を聞いていた人は「小山は栃木の第二の都市だからね。自民党じゃないと」と力説する。

強固な地盤がある佐藤氏への「挑戦者」としての立場を崩さない藤岡氏であったが、連日報じられる各社の情勢調査では「藤岡氏がややリード」「佐藤氏が猛追」といった記述が目立った。
ところが、藤岡陣営に話を聞くと意外にも笑顔は少ない。というのも「前回の衆院選でも『藤岡リード』と書かれていたが、結局佐藤さんに負けてしまった」という苦い記憶があるからだという。前回の“ぬか喜び”が刷り込まれているため、「最後まで油断しない」と陣営関係者は口をそろえた。
一方、佐藤氏の後援会幹部は「後援会に入っている人たちが高齢化で抜けて、若い人が入ってこない」と選挙活動がなかなかスムーズに進まない現状を吐露。「“比例で復活してもらうのが最後の願い”と言う人が徐々に増えている」と声を曇らせた。
藤岡陣営「2000万円問題が追い風に」
開票の結果、藤岡氏は佐藤氏に2万票以上の差をつけ当選した。大票田の小山市で佐藤氏に大差をつけたうえ、真岡市でも約4ポイントの差をつけた。共産党候補の出馬で、野党票が割れることが懸念されたが、得票率は53.4%と、前回の48.9%と比較しても支持を伸ばしたことがわかる。
【開票結果】
立憲・藤岡氏 9万6573票
自民・佐藤氏 7万5260票
共産・川上氏 8985票
藤岡陣営の幹部は「本人の頑張りと“風”じゃないですか。2000万円問題が追い風になった」と勝因を分析した。
JNNが行った投票当日の出口調査によると、藤岡氏は立憲民主党支持層を固めたうえ、無党派層、そして自民党支持層の一部からも票を得ている。政治とカネ問題で、自民党への批判票の受け皿となった面もあるようだ。
藤岡陣営の幹部は「本人はすごく謙虚。万歳三唱の掛け声で、みんなに頭を下げていた。あんな男はいないです」と期待を語る。ただ、野党への追い風がいつも吹くわけではない。強い保守層のある地元にどこまで根付くことが出来るか、国会などでの今後の活動が問われる。