心が動かない…スランプの乗り越え方とは
――現在、WBO女子世界スーパーフライ級王者で、プロデビュー戦以来6戦無敗と記録を伸ばしていますが、ここに至るまでの挫折や忘れられないエピソードはありますか?
アマチュアボクサーとして、ずっと東京五輪2020に出場することを目指していました。オリンピック出場のかかった最終選考で、オリンピックで金メダルを獲得した入江聖奈選手に負けてしまったんです。そのときは心が折れたというか、行きたい場所や食べたいものもない、「ボクシングをやめたら古着屋さんで働きたい」と思っていた夢までなくしてしまった感覚で、きっと心にぽっかり穴が開いたというのはこういう感じなのだろうなと。ですが、そのころ自衛隊体育学校に在籍していたので、自衛官アスリートとしてボクシングをすることが仕事という環境から、心が動かない状態でも毎日ボクシング道場には行き続けていました。今思うと、嫌だなと思ったことでも完全に目を背けなければ、道は切り開けるんだなと。ちょっとは目をつぶってもいいけれど、本当に嫌いなのか分かるまでは逃げないことが大事だなと感じています。
――ボクシングから目を背けなかったことに加えて、プロボクサーを目指そうと思えた出来事は何だったのでしょうか?
家族や、高校のときにボクシングを教えてくれた先生をはじめとした周りの方の応援です。私がオリンピックに出場できなかったことでみんなが落ち込んでいましたし、泣いてくれて。試合に負けてすぐ先生に電話をしたところ、「一緒に夢を見させてくれてありがとう」と言ってもらえて、私だけが夢を見ていたわけではなかったんだなと知ったんです。それにボクシングで幸せになっていないから、ここで諦めるわけにはいかない、ボクシングで幸せになろうと、少しターゲットを変えてプロボクサーになりました。
