実態は気象庁に“丸投げ”?

入江氏はまた、気象庁の会見に先立って午後7時半過ぎに総理官邸で行われた記者会見で、林芳正官房長官の発言が「この後、気象庁から詳細の発表がある。詳しくはそちらで聞いてほしい」の一点張りで、国民に具体的にどのような防災対応を望むのか等の呼びかけが一切無かった点を挙げ、「テレビを見ていて、言葉は悪いが(気象庁に)丸投げするのか」との印象を持ったという。

林芳正官房長官は「詳細は気象庁に聞いて」と繰り返し発言(8月8日)

こうした総理官邸の対応からして、入江氏は「臨時情報(巨大地震注意)」について政府と記者との間で内容のある質疑応答ができる場は実質的に気象庁の記者会見しかなかったはずなのに、政府は国民に対し防災対応の呼びかけを行う唯一の機会を逃したとも指摘した。

入江さやか・松本大学総合経営学部教授
「次に臨時情報が出たとき、『海水浴に行って良いですか?』という問いに会見で誰が答えるのか。責任の所在が曖昧なのは、学者にとっても国民にとっても大変不幸なことだと思います」

同様の指摘は他の防災研究者やメディア等からも複数出ていて、政府は「臨時情報」の評価結果について説明する気象庁の会見に、今後は内閣府防災の参事官級を出席させる方向で調整を進めている。

林能成・関西大学教授は「臨時情報」の名称や表現の見直しを提言