「西園寺さん」三人目の存在感
影山「西園寺さんは家事をしない」(TBS)がよかったです。松本若菜さんが花開いたという部分もありますし。
倉田 番組のホームページに「幸せって何?家族って何?」という問いかけが載っていて、そういうことも考えさせられるんですが、純粋に楽しくワクワクしながら見られました。
松本さん演じる主人公が、偽家族と暮らしていくお話です。この偽家族という考え方自体に、ちょっと憧れますね。
家族のことを考えると、ついつい責任などを重たく考えてしまうことがあります。もちろん、一緒に暮らしたり、子どもを育てる上で、責任を持ち続けるのが大切なのは当たり前ですけれど、もうちょっと気楽に、一人ではさみしいけれど、そこまで重い責任を負いたくない気持ちのときに、この偽家族はぴったりだと思いました。
あと、西園寺さんの恋愛事情でいうと、最終的にYouTuberの男性から、松村北斗さん演じる楠見君に気持ちが移っていく。その過程も、彼女の移り気に批判が起こるかと思ったのですが、心の揺れが自然に感じられて、移り気な感じが全くしませんでした。YouTuberにいったんは魅かれたけれど、自分の本当に欲しいものはやはり偽家族だったというのがきちんと伝わる丁寧な描き方でした。
田幸 松村さんのお子さんが、西園寺さんと父親の楽しげなやりとりを見て、さみしそうに西園寺さんに「パパのこと好きにならないで」と言う。あのセリフにみんなが泣かされたと思うのですが、そういった思いを大事にしているからこそ「西園寺さん」は本当にいい。
影山 最初は、松本さんと松村さんの何とも言えない微妙な距離感がよくて、そこに超魅力的な俳優である津田健次郎さんがYouTuberとしてパッと登場した時は、いやいやもう津田さんはいいでしょう、松村&松本でやり切ってほしいと思ったんです。もちろんその後は、三人の関係性がより面白くなったんですけれど、正直、松本&松村だけで見たかったとも思うんですが、どうですか。
倉田 私は、津田さんが偽家族のあり方を考えるスパイスになった気がします。偽家族を続行するのか、西園寺さんに別に恋人ができて分裂するのか、想像が広がって、逆に津田さんの存在はウェルカムで楽しみました。
田幸 私は津田さんがよ過ぎて……。本来は三人が家族になるスパイスでしょうけど、津田さんがよ過ぎて、自分の中の偽家族観が広くなってしまって「もうみんなで一緒に住んだらよくない?だって、みんな一緒にいるのが幸せじゃんね」(笑)と、ちょっと違う方向に行きそうなぐらい、みんな大好きでした。